総合

神経の病気って?精神科なの?神経科なの?

yoshiki

 神経科と言っても、精神神経科(psychiatry)なのか?神経内科(Neurology)なのか?難しいですよね。私達医師も患者さんに解りやすく『神経の病気』と言うことがありますが、かえって誤解を招くこともあります。

精神神経科(psychiatry)・・・

 うつや神経症の様な精神の障害(心の病)は、精神神経科(psychiatry)です。そのまま精神科と標榜すると、精神科に対する偏見などでかかりにくいため、『心療内科』『メンタルクリニック』『こころのクリニック』、場合によっては『神経内科』とかと標榜される事が多いのです。    
 そのため、開業医の『神経内科』の多くは精神科であり、本当の神経内科(Neurology)では無いのです。 米国などでは、よく映画やドラマにあるように、インテリの人の方がむしろ精神神経科に積極的にかかりつけを持つことが多く、むしろ重要視され、日本のような偏見は少ないと思います。

 自律神経の失調がうつや不安を引き起こし、結果として様々な体調不良を起こします。胃腸科においても、過敏性腸症候群や慢性便秘症、機能性ディスペプシアといった疾患をも引き起こします。 更年期障害なども、経過的なうつ状態とも言えます。自律神経・メンタルの治療が、全身を改善するので、実は大変に重要な科なのです。

 では、神経内科(Neurology)とは?

 神経や筋肉自体の障害によって起こる病気、例えば筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、脊髄小脳変性症、パーキンソン病、重症筋無力症等、特殊な病気を診る科で、体が動かない様な時にかかる科です。一般には大きな病院にしかありません。

異常が無いのに、とても痛いのは・・・

 我々開業医が一番出くわす、「神経の病気」は、実は神経痛なのです。これも簡単に神経の病気と言いますが、専門は整形外科となります。
 病気で起こるのは、中枢神経内に潜伏している水痘ウイルスが弱ったときに発症する帯状疱疹ですね。これは内科か皮膚科で良いです。

 知覚神経の一部が圧迫・傷害されると痛みが出ます。「ズキズキ、キリキリ」と表されることが多い痛みです。拍動性のある、強弱のある痛みなので、そう言われることが多いです。典型的なものは、
「急に痛くなり、治まるとすっかり痛くなくなる。」
「痛いところを押さえても、実はあまり痛くない、むしろ痛みが和らぐこともある。」
「検査をしても何も異常が無いのに、とても痛い。」
「寝ている時や、じっと同じ姿勢を取った後に起こる。」
「体をひねったり動かしたときに起こる。」
「痛むところの背部に腰痛もある。」
「肋骨の下が痛い。」等です。
よく胃が痛いと言って内科に来られることが多く、そもそも受診先が間違っているので、診断困難となる事が多いのです。

 先日も一年間どこでも診断されず、神経だと言われ心療内科にまでかかり、困り果てて泣いてこられた方がありましたが、まさに典型的な神経痛でした。自分から胃が痛いと言ってしまうと、医師も気が胃に行きがちとなり、診断されにくくなります。


 多くは脊髄の付け根に原因があります。MRI等で原因がはっきりすれば、「ヘルニア」「脊髄管狭窄症」「すべり症」「脊髄骨化症」等と診断されます。場合によっては癌の骨転移などもあります。

 純粋な「神経痛」は検査をしても原因が明らかでないものです。古傷や気圧や姿勢などで一時的に圧迫された状態で起こる痛みですので、検査では異常はありません。様々な検査で異常無しと診断されていれば、逆に神経痛の診断は容易です。治療は鎮痛剤と運動・体操となります。老化の結果でもあるので、上手く痛みと付き合って行く必要があります。

 偏頭痛のような病気や頭痛・麻痺の起こる脳出血・脳梗塞等は脳外科ですから、単純に神経と言っても診てもらう科は様々なのです。






ABOUT ME
鹿嶽 佳紀
鹿嶽 佳紀
医療法人社団 鹿岳胃腸科・内科 理事長
内科医として30年、たくさんの経験を積ませていただいています。これからも皆様に最新・最良の治療を提供していきます。また、地域の医療水準の向上に貢献できるよう、日々進歩する医療を常に学んでいます。野鳥とDIYが大好きで、最近の休日は、専ら庭の手入れです。
記事URLをコピーしました