内科

病気の根っこ

yoshiki

 熱があるから解熱剤、痛いから鎮痛剤、血圧高いから降圧薬など、原因を特定せずに症状だけを抑える治療は行ってはなりません。
 
 肺炎で高熱が出ているのに、知らずに強い解熱剤を出してしまうと一気に身体が楽にはなりますが、肺炎という原因を放置したままなので、むしろ解熱で身体が動くため、熱があったときよりも無理してしまい、肺炎が悪化するのです。肺炎の治療の後に解熱しなければいけないのです。

 俗に風邪をこじらせてお亡くなりになると言う、良くあるパターンです。 

 胆石でお腹が痛いのに、痛み止めで痛みを抑えてしまうと、胆嚢炎を起こし、腹膜炎となってしまいます。

痛みや熱は枝葉の症状で、その根幹に原因があるので、原因を治療することなく症状だけ押さえてしまうのは、とても危険な事なのです。

 急な血圧上昇の一因に、脳梗塞があります。脳梗塞が起こったときは、脳血流を補おうとして血圧が急に上がります。

 知らずにそれを下げてしまうと、脳の血流が下がり、脳梗塞が悪化してしまうのでこの血圧は下げてはいけません。


 また、めまい症の発作時には、激しい吐き気で交感神経が刺激され、血圧が180以上になるのは普通です。しかし、自宅で血圧を測ってビックリし、血圧が高いためにめまいが起こったのだと勘違いされて来院される方が多いです。この場合、血圧を治療する必要はありません。

 メイロン注射や鎮静剤などでめまいを止めると、即効で気分不良が直り、すぐに血圧は元に戻るのです。
 

 患者さんの言われるがままに、慌てて血圧を下げ、後からめまいの治療をしてしまう事例も見受けますが、めまいが治まると同時に血圧はすぐに元に戻るため、先に降圧薬を投与してしまっていたがために、血圧が下がりすぎ、今度は立ちくらみで帰れなくなり入院、なんてこともあります。

 緊急に降圧する事は、実はそんなにありません。急な高血圧のほとんどは、痛みや興奮による交感神経刺激症状のため、慌てずゆっくり落ち着かせ、その原因を取り除くことが大事なのです。
 原因が解らないのに闇雲に血圧を下げるのは良くないのです。実は痛み止めのロキソニンの副作用で血圧が上がっていた、なんて事も良くあります。その場合は痛み止めを変薬すれば良いのです。


 血圧が上がったから下げるなんて雑な対症療法はせず、血圧が上がった原因、病気の根本を考えて、どう治療するべきかを考えなければなりません。

 慢性疾患の高血圧症においても、もし悪玉コレステロールが高いまま放置して、血圧だけを下げる治療を続けていても、動脈硬化はますます進み、更に血圧が上がるばかりで、良くなる見込みはありません。
 高コレステロール血症による動脈硬化が原因で血圧が上がっている場合、動脈硬化を改善しないと、血圧のみならず、脳梗塞、心筋梗塞、腎不全なども起こしやすいのです。
 より根元を治療することで、薬も減らせます。
 

 高血圧症の根っこに高コレステロール血症があることを意識して治療しなければなりません。

 より根本の病気を治さないと、その枝葉の症状だけを押さえるのは対症療法でしかなく、根本的な治療とは言えません。病気の大元の原因を検査して調べた上できっちり治療することが大切なのです。

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鹿嶽 佳紀
鹿嶽 佳紀
医療法人社団 鹿岳胃腸科・内科 理事長
内科医として30年、たくさんの経験を積ませていただいています。これからも皆様に最新・最良の治療を提供していきます。また、地域の医療水準の向上に貢献できるよう、日々進歩する医療を常に学んでいます。野鳥とDIYが大好きで、最近の休日は、専ら庭の手入れです。
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