消化器科

当院における胃カメラ検査の集計

yoshiki

令和3年の当院における
上部消化管内視鏡検査の集計を行いました。

 新型コロナ感染症の流行による検査受診控えもあってか、上部消化管の内視鏡検査(胃カメラ)は1156件と、やや減少傾向にあります。
 しかし、胃癌の発見者数は18名と依然多く、減少してはおりません。食道癌は4名と、増加傾向にありました。
 胃癌のうち、7名はピロリ菌未除菌の方ですが、除菌後の方も8名(除菌1年後1名、4年後2名、5年後1名、6年後3名、18年後1名)おられました。ごくまれですが1名は、胃癌リスクA群のピロリ菌未感染者でした。

ピロリ菌除菌後の胃がん

 ピロリ菌の除菌後の方の胃癌が増加傾向にあります。ピロリ菌を除菌された方は、除菌後も胃癌のリスクは一生続きます。除菌したからと言って安心せず、必ず定期的な検査をお受け下さい。特に、除菌1年後・2年後の検査は重要です。
 実際に、除菌以後検査されておらず、7年後に来院して検査を行ったところ、胃癌であった方が最近おられました。
 バリウム健診では見つからないくらい早期に、上皮内癌の状態で発見出来れば、未分化癌でない限り、開腹せずに内科的に内視鏡で切除することが可能なのです。

定期検査は必要?

昨年の胃癌発見例でも胃癌18名中の10名は、内科的な内視鏡手術により治癒しておられます。特に当院で定期的に内視鏡検査を受けられてた方は、全例が内視鏡切除となっております。小さな病変をできるだけ早期に発見する事が大切なのです。
 古く慢性胃炎と呼ばれていたものは、実際にはピロリ菌の慢性感染症なのです。除菌をすれば、慢性胃炎は治癒してしまいます。結果として、徐々に胃の消化・運動が改善し、胃の調子が良くなり、胃の症状が出にくくなります。無症状でも検査を受けておかないと、進行癌になるまでは症状で気付くことが出来ません。症状が無くても定期的に内視鏡検査を受けておくことが大変重要なのです。
 また、昨年は食道癌も4名と増加傾向にあります。過去に10年以上の喫煙歴・飲酒歴のある方は禁煙後でもリスクが高いため、ご注意下さい。

胃カメラ検査について

ABOUT ME
鹿嶽 佳紀
鹿嶽 佳紀
医療法人社団 鹿岳胃腸科・内科 理事長
内科医として30年、たくさんの経験を積ませていただいています。これからも皆様に最新・最良の治療を提供していきます。また、地域の医療水準の向上に貢献できるよう、日々進歩する医療を常に学んでいます。野鳥とDIYが大好きで、最近の休日は、専ら庭の手入れです。
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