
新型コロナウイルスのようなRNAウイルスは、変異しやすいために、永続して有効な抗体を作るのは困難です。
通常の中和抗体は、免疫細胞がウイルスの特徴ある部分を探し出して作る抗体です。
しかし、ウイルスはその特徴ある部分を変異させて生き残ろうとします。そのため、せっかく感染して得た中和抗体も、次の変異株では無効となるのです。
皆で感染することで集団免疫を獲得しようとの無茶な考えもありましたが、それでは変異する度に皆で感染して、中和抗体を得なければなりません。
これだけ変異が激しいウイルスだと、感染による集団免疫は効果がありません。中国製ワクチンのような、既存の方法で作ったワクチンでも同じ事が言えます。
一年の間にデルタまで変異するようなウイルスに、古い製法のワクチンは全く効きません。

m-RNA抗体はウイルス周囲のスパイク部分の抗体ですので、その部分に変異が起こらなければ有効であり続け、変異には強いのです。今までの中和抗体を獲得させるワクチンとは、効果も段違いです。その分副症状も強いようですが。ただし、完全な中和抗体では無いため、かかりにくくはありますが、かからないようにする効果はそもそもありません。
ブレイクスルー感染とか、意味不明な最もらしいニュースがなされますが、そもそも完全防御のワクチンではないのです 。
一般的にウイルス感染において、感染の成立は、『一時に入ってくるウイルスの量×感染力』VS 『その人の抵抗力』と言うことになります。
例えば、ウイルスが一つ二つ入ってきても、抵抗力があればまずは感染する前に除去されます。ウイルスの感染力の強さは、一時にいくつのウイルスがやってくれば感染が成立するかですが、感染力の強いノロウイルスでは、一時に100個くらいやってくると負けてしまい、感染が成立します。
インフルエンザ患者で1回の咳で約10万個、1回のくしゃみで約200万個のウイルスを放出すると言われています。飛沫一粒子の中にいくつもウイルスがいますので、一粒子が到達しても危険なのです。

新型コロナウイルスがどのくらいで感染成立するかの感染力のデータはありませんが、もし100個でも成立するなら、一飛沫吸っても危険です。インフルエンザより感染力が高いことは間違いなさそうです。
デルタ株は飛沫のウイルス量が1000倍多いとの話しもありますので、感染力は変わっていないと仮定しても、初期の株と比べて、1000倍かかりやすいわけです。もし感染力も強くなっていれば、もっと強力になっているわけです。
その人の抵抗力は、持病やストレス、健康状態、栄養状態、睡眠状態などで変化します。が、その程度は知れています。一番抵抗力を上げるのは、今のところm-RNAワクチンかDNAワクチンです。

しかし、どのワクチンを持ってしても、『一時に入ってくるウイルスの量×感染力』が変異の度に強化されている以上、m-RNAワクチンは最低限行うべき対応であって、しないよりは1000倍マシでも、かからないわけでは無く、ブレイクスルーなんて言葉自体が不適当、打っていても感染はあって当然のことなのです。それくらいこの新型コロナウイルスは変異の度に強力化しているのです。

『手洗・マスク・人間距離』は『一時に入ってくるウイルスの量』を下げるのにとても有効です。
皆ワクチン接種が終わったとしても、ウイルスが進化し続ける限り、今後もずっと『手洗・マスク・人間距離』は必要なのです。必要でない日が来ることを願うのでは無く、ずっと必要であることを前提に、生活を変化させねばなりません。
ホントにかつて無いくらい、時代を変えてしまうくらい、とんでもないウイルスなのです。
当面、内服治療薬が早く出るのを願うのみです。